中学生の少女、川崎十紀(かわさき とき)は言葉を話すことができない。
医者の診断によれば精神的なものだというが、彼女自身はその理由を知らない。
なぜなら、彼女は四年前を境に、それ以前の記憶を失っていたからである。
それでも十紀はひとつだけ、言葉と記憶の手がかりを持っていた。
それは、兄・川連時の存在。
兄は十紀にとってただ一人の肉親であり、彼女の過去を知る人だった。
しかし、その兄は最後まで十紀の過去を語らず、東北の小さな病院で、短い生涯を終えた。
そして。夏の始まり、十紀は旅立つ。
兄が生涯を終えた場所。
四年前、自分の記憶が始まった場所を目指して。
サークル名 | 御茶ノ水電子製作所 (作品数:3) |
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作家名 | bomi |
発行日 | 2008/7/13 |
作品種別 | 一般向け |
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