2084年。『少女兵器脱走事件』から一年前。
ロシア連邦保安庁はリーダーであるセルゲイ・バルスコフの指示で、戦争犯罪者として東京拘置所に囚われた同志の解放を目指していた。
副リーダーのアナスタシアは、戦勝記念日の深夜に日本国防軍陸軍幕僚長が招魂神社を訪れることを掴んだ。彼の誘拐と、それを材料とした日本政府への交渉を提案する。
しかし、そこにはアナスタシアの本当の目的があった――
2086年。戦中に兵器開発機構で生殖細胞の研究をしていた東京農研大学教授の道澤富雄がアメリカへ亡命するという疑惑が浮上した。
ミィル、カズ、ヘレンは道澤を監視し、亡命開始時には拘束、不可能な場合は暗殺を命じられる。同時に亡命の動機を探すことも命じられ、道澤の亡命に取り巻く数々の思惑に巻き込まれていく。
『客我放棄』と『主我懸念』の全二編で送る『フレムドゥング』の短編集。