文政八年二月、深川は一色長屋に暮らす時津日向子、大助母子。小野派一刀流の遣い手でもある日向子は、骨董屋〈天秤堂〉の裏の仕事、〈日読み屋〉の一員でもある。そんな折、「夜毎、夢に現れる娘を探してほしい」との依頼が舞い込む。実際にいるのかいないのか、それさえもわからない。人探しは確かに得意分野とはいえ夢の中とは。ともかく〈日読み屋〉の面々が早速その女のことを調べるのだが……。
●六道 慧(りくどう・けい)
東京の下町・本所生まれ。今も長兄が実家で小さな小さな町工場を営んでいる。1988年、朝日ソノラマから『大神伝(1) ムーの大神』でデビュー。以来、ライトノベル、時代物、そして警察小説とジャンルを変えながら挑戦してきた。「継続は力なり」が信条。