江戸では運座が流行、誰もが風流を気取って句を詠む中、緒方弥十郎が用心棒を頼まれた佐兵衛の家でも「運座のようなもの」が開かれる。だがその夜、何者かに毒を盛られた佐兵衛は、「長谷川平蔵」という言葉を遺して事切れた。佐兵衛を襲った賊の背後にちらつく水戸家の影……。一計を案じた弥十郎は、ある噂を市中に流す。はたして敵は動くのか?
●六道 慧(りくどう・けい)
東京の下町・本所生まれ。今も長兄が実家で小さな小さな町工場を営んでいる。1988年、朝日ソノラマから『大神伝(1) ムーの大神』でデビュー。以来、ライトノベル、時代物、そして警察小説とジャンルを変えながら挑戦してきた。「継続は力なり」が信条。